近年、全国の自治体で「スクラップヤード条例」が次々と制定されています。金属スクラップや廃自動車部品などを屋外で保管・処理するヤード事業者に対し、許可制や施設基準を設けることで、環境保全や地域安全を図る動きが加速しています。
本シリーズでは、埼玉県・千葉県を中心に、スクラップヤード条例の内容と事業者への影響、そして行政書士が果たせる役割について、5回にわたって解説していきます。
なぜ今、スクラップヤード条例なのか？
スクラップヤードは、資源循環の担い手である一方で、以下のような課題も抱えています：
- 🔥 火災の頻発（特にリチウム電池混入による発火）
- 🛻 盗難車の不正解体
- 💧 油や汚水の流出による土壌・水質汚染
- 👃 悪臭・騒音による住環境の悪化
こうした問題に対応するため、自治体は独自の条例を制定し、ヤード事業者に対して施設整備や運営ルールの遵守を求めるようになりました。
スクラップヤード条例の主な規制内容
条例の内容は自治体によって異なりますが、共通して以下のような規制が見られます：
- ✅ ヤード営業には自治体の許可が必要
- 🧱 囲いや舗装、排水設備などの施設基準
- 📏 保管物の高さ制限（例：5m以下）
- 🔇 騒音・振動・悪臭の防止措置
- 🧯 火災予防のための保管面積・間隔の制限
- 🗣️ 住民説明会の開催義務（新設・変更時）
これらの規制は、事業者にとって新たな負担となる一方で、地域との共存を図るための重要なステップでもあります。
全国の条例制定状況
2025年現在、スクラップヤード条例を制定している自治体は以下のように広がっています：
- 埼玉県：全域（さいたま市、越谷市内の事業場は市の条例による）
- 千葉県：全域（千葉市、袖ケ浦市はそれぞれ独自に定めた規制条例が適用される）
- その他：福島県、茨城県、愛知県、三重県など
条例の目的も自治体によって異なり、「盗難車対策」を重視する地域もあれば、「環境保全」や「生活環境の確保」を主眼とする地域もあります。
行政書士が関わる可能性
スクラップヤード条例は、許可申請や施設整備に関する書類作成、住民説明会の運営支援など、行政書士が実務で関与できる領域が多く存在します。今後のシリーズでは、埼玉県・千葉県の条例を具体的に読み解きながら、行政書士が果たせる役割を深掘りしていきます。
次回予告
第2回では「埼玉県スクラップヤード条例のポイント｜許可制・施設基準・事業者対応」と題して、埼玉県内の条例内容と事業者が注意すべきポイントを詳しく解説します。
【第2回】埼玉県スクラップヤード条例のポイント｜許可制・施設基準はこちらをご覧ください。
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