この記事は「スクラップヤード条例シリーズ」第2回です。前回は全国的なヤード規制の背景と条例の概要を紹介しました。今回は、条例制定が進む埼玉県に注目し、具体的な規制内容と事業者が対応すべきポイントを解説します。

埼玉県で進むスクラップヤード規制の背景
埼玉県では、スクラップヤードに起因する火災・騒音・油流出などの問題が顕在化し、住民からの苦情が増加。これを受けて、複数の市町村が独自の条例を制定し、ヤード事業者に対する規制を強化しています。
代表的な自治体には以下があります:
- 八潮市:2019年に「金属スクラップ等取扱事業場の適正化に関する条例」を制定
- 三郷市:2020年に同様の条例を施行
- 川口市・草加市なども検討・施行済み
許可制の導入と申請の流れ
埼玉県内の多くの条例では、ヤード営業に対して「許可制」が導入されています。事業者は以下の手順を踏む必要があります:
- 📄 申請書類の提出(事業計画書、施設図面、誓約書など)
- 🗣️ 住民説明会の開催(近隣住民への周知と意見聴取)
- 🧱 施設整備の完了(条例で定められた基準を満たす)
- ✅ 許可の取得(自治体による審査・現地確認)
※無許可営業は罰則対象となる場合があります。
施設基準の主な内容
条例により、ヤード施設には以下のような整備が義務付けられています:
- 🔲 敷地の囲い(高さ2m以上のフェンス等)
- 🧱 地面のコンクリート舗装(油・汚水の浸透防止)
- 💧 排水溝・油水分離槽の設置
- 📏 保管物の高さ制限(例:雑品スクラップは5m以下)
- 🔥 火災予防措置(保管物の間隔、消火器の設置)
これらの基準は、事業者の設備投資を伴うため、事前の計画と資金確保が重要です。
行政書士が支援できる実務
埼玉県のスクラップヤード条例対応において、行政書士が果たせる役割は多岐にわたります:
- 📑 申請書類の作成・提出代行
- 🗺️ 施設図面・配置図の作成支援
- 🗣️ 住民説明会の運営サポート(案内文・議事録・質疑応答対応)
- 📋 誓約書・契約書のテンプレート提供
- 🧭 条例の解釈・自治体との調整
特に、複数の自治体にまたがる事業者に対しては、地域ごとの条例比較や対応方針の整理が求められます。
次回予告
第3回では「千葉県スクラップヤード条例の解説|市町村ごとの規制と事業者対応」と題して、千葉県内の条例制定状況と地域差について詳しく解説します。
【第1回】スクラップヤード条例とは?ヤード規制の背景と行政対応はこちら
埼玉県特定再生資源野外保管業の規制に関する条例(スクラップヤード条例)について、詳しくは埼玉県のサイトをご覧ください。
スクラップヤードに関するご相談はこちらまでどうぞ。
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