前回の記事では、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物以外)について取り上げました。
今回は、特別管理産業廃棄物について紹介します。
この記事では
1.特別管理産業廃棄物とは
2.特別管理産業廃棄物の運搬方法
について、全く知らない方でもイメージしやすいように、紹介していきます。

1.特別管理産業廃棄物とは
特別管理産業廃棄物は、普通のゴミよりも危険な廃棄物のことです。例えば、毒性が強いもの、爆発しやすいもの、病気を広げる可能性があるものなどが含まれます。これらは、適切に処理しないと人の健康や環境に悪影響を及ぼすため、特別なルールで管理されています。
特別管理産業廃棄物の具体的な品名
- 廃油(揮発油類、灯油類、軽油類)
- 廃酸(pH2.0以下の強い酸性廃液)→硫酸や塩酸など
- 廃アルカリ(pH12.5以上の強いアルカリ性廃液)→アンモニア廃液など
- 感染性産業廃棄物(使用済み注射針、血液付着ガーゼなど)
- PCB(ポリ塩化ビニフェル)廃棄物(PCBを含む廃油、PCB汚染物など)
→ポリ塩化ビニフェルはがんや皮膚障害の原因となる。 - 廃水銀(水銀を含む廃棄物)→水俣病は水銀が原因
- 鉱さい(ヒ素、シアン化合物を一定濃度以上含むもの)
→こういうものを人に飲ませた事件がありましたね… - 廃石綿(アスベストを含む廃棄物)→アスベストは発がん性物質として有名
- 燃え殻・ばいじん(ダイオキシン類を一定濃度以上含むもの)
うーん、具体的な品名を見てみると、やはり恐ろしいですね…
普通(無害)の廃棄物と一緒に運搬してはいけないことがよくわかります。
では、どのようにして運搬するのでしょうか。
2.特別管理産業廃棄物の運搬方法
特別管理産業廃棄物の運搬には、厳格な管理と安全対策が求められます。具体的な運搬方法の例をいくつか紹介します。
1. 密閉容器での運搬
- 廃油や廃酸、廃アルカリなどの液体廃棄物は、耐腐食性のある密閉容器に入れて運搬。
- 容器には漏れ防止のシールを施し、倒れないように固定。
2. 専用車両での運搬
- 感染性廃棄物(医療機関から出る注射針や血液付着物)は、専用の密閉車両で運搬。
- 車両には消毒設備を備え、運搬後に適切な洗浄を実施。
3. ラベル表示と適切な管理
- PCB廃棄物や廃水銀などの有害廃棄物は、危険物表示ラベルを貼付。
- 運搬時には「マニフェスト(管理票)」を発行し、適切な追跡管理を行う。
4. 許可業者による運搬
- 特別管理産業廃棄物は、許可を持つ専門業者に委託して運搬するのが一般的。
- 許可業者は、法令に基づいた適切な処理を行う義務がある。

この記事は、特別管理産業廃棄物について、全く知らない方でもイメージしていただきやすいように書いております。もっと詳しく知りたい方は環境省のサイトをご覧いただくとよいと思います。
ちなみに、現場の方々は「特管物(とっかんぶつ)」なんて呼ぶそうです。
特別管理産業廃棄物って、やっぱり言いにくいですもんね(笑)