これまで、産業廃棄物について説明してきました。
そして、今回から収集運搬業許可について順を追って説明します。
今回は対話形式にしてみました。
登場人物
・イーウィルさん(許可取得を考えている事業者さん)
・行政書士ノブカワ(許可申請の専門家)

許可が必要な理由とは?
イーウィル: 「先生、産業廃棄物を運ぶだけなのに、なんで許可が必要なんですか?普通の運送業とは違うんですか?」
ノブカワ: 「いい質問ですね!産業廃棄物は、環境や人の健康に影響を与える可能性があるため、法律で厳しく管理されているんです。例えば、有害な化学物質を含む廃棄物が適切に処理されずに放置されたら、土壌や水質汚染につながる可能性があります。」
イーウィル: 「なるほど…。でも、普通のゴミ収集業者とはどう違うんですか?」
ノブカワ: 「一般廃棄物と産業廃棄物では、扱う廃棄物の種類が違います。一般廃棄物は家庭から出るゴミですが、産業廃棄物は工場や建設現場などから出る廃棄物です。産業廃棄物は種類によって処理方法が異なり、適切な運搬・処理が求められるため、専門の許可が必要になるんですよ。」
具体例:過去の環境問題
イーウィル: 「実際に産業廃棄物が原因で問題になったことってあるんですか?」
ノブカワ: 「ありますよ!例えば、1970年代に発生した水俣病は、工場から排出された有害なメチル水銀が原因で、魚を食べた住民が重い健康被害を受けました。これは産業廃棄物の不適切な処理が招いた大きな環境問題の一例です。」
イーウィル: 「そんな昔の話だけじゃなくて、最近も問題になってるんですか?」
ノブカワ: 「もちろんです。例えば、2020年には不法投棄された産業廃棄物が原因で地下水汚染が発生し、周辺住民の飲み水に影響を与えたケースがありました。こうした問題を防ぐために、産業廃棄物の適切な管理が求められているんです。」
データで見る産業廃棄物の影響
イーウィル: 「産業廃棄物ってどれくらいの量が出てるんですか?」
ノブカワ: 「環境省のデータによると、日本国内で発生する産業廃棄物の総量は年間約3億トンにもなります。そのうち、適切に処理されているものもありますが、不適切な処理が行われると環境問題につながる可能性があります。」
イーウィル: 「そんなに大量の廃棄物が出てるんですね…。それを適切に管理するために許可が必要なんですね。」
ノブカワ: 「その通り!許可を持っている業者は、適切な処理方法を理解し、法律に則った運搬を行うことが求められます。」
無許可で運搬するとどうなる?
イーウィル: 「もし許可を取らずに産業廃棄物を運んだら、どうなるんですか?」
ノブカワ: 「無許可で運搬すると、法律違反になります。『廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)』では、無許可で産業廃棄物を運搬すると5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。」
イーウィル: 「えっ、そんなに厳しいんですか!?」
ノブカワ: 「そうなんです。さらに、悪質な場合は会社の信用が失われ、取引先との契約が打ち切られることもあります。だから、許可を取得して適切に運搬することが大切なんですよ。」
許可を取得するメリット
イーウィル: 「じゃあ、許可を取ることでどんなメリットがあるんですか?」
ノブカワ: 「まず、法的に安心して事業を運営できることですね。許可を持っていれば、行政の監督のもとで適切に事業を行っている証明になります。」
イーウィル: 「確かに、違法行為をしていると取引先も不安になりますよね。」
ノブカワ: 「その通りです!さらに、許可を持っていることで新しい取引先を獲得しやすくなるというメリットもあります。許可を持っている業者の方が信頼されやすいので、仕事の幅が広がるんですよ。」
イーウィル: 「許可を取ることでビジネスのチャンスも増えるんですね!」

いかがでしたか?
産業廃棄物収集運搬業を始めるなら、まずは許可取得の準備を進めましょう。
分からないことがあれば、いつでも相談してくださいね。